メイラ株式会社
名古屋市中村区椿町 17番 15号
TEL:052-459-1271
HP:https://www.meira.co.jp/index.php

 メイラ株式会社は、天( 航 空・ 宇宙)、地(自動車・一般産業)、人(医療)の3分野において、ボルトや精密加工部品などを生産しているメーカーです。
1932年に名古屋螺子 (らし )製作所として誕生し、2000年には旧社名の略称「名螺(メイラ)」からメイラ株式会社という社名に変わりました。
私たちの身近にある飛行機や車をはじめ、骨折した際に骨を固定するためのインプラントにもメイラのボルトや機械加工部品が使われています。今回は、メイラ株式会社の大橋社長からお話を伺いました。

電柱広告はお役に立っていますか


 若手の良い人財を確保したいという想いがあり、認知度向上のために主力工場がある岐阜県関市の関商工高等学校周辺に今回初めて電柱広告を掲出しました。2021年12月に掲出したばかりの広告ですが、1本の道に連続して看板を掲出したこともあり、すでに反響があります。関商工高等学校の学生からは、「赤い車のイラストが良く目立つ」という声や、「電柱広告をきっかけに初めて社名を知った」という声もありました。今回、こちらの広告掲出地域の道が、「メイラロード」として広まれば面白いなと思っています。広告の効果を実感していますので、次回はホームページに遷移できるようQRコード付の広告を掲出しようかと検討しています。

創業当時はどのような事業をされていましたか?

航空機用のネジづくりが原点です。創業当時の日本では、世界レベルを目指した航空機を開発する一方で、部品の製造技術が未熟であり、重要部品であるネジですら破断を起こしているような状況でした。それに起因する飛行機事故で若いパイロットが亡くなることも多かったのです。そこで、最先端の航空機開発に貢献したいと思い、高強度・高品質のネジづくりに奮闘しました。「品質の高い製品をつくり社会に貢献する」という創業時の想いや、「常に新しい技術に挑戦する」チャレンジングスピリットは、今もなお脈々と受け継がれています。

「H-ⅡAロケット」のボルトも開発されたそうですね

 H-ⅡAロケットの先端には衛星を格納する「フェアリング」という構造体があり、ロケットが予定軌道まで運ばれた後、フェアリングを二つに分離・開放して衛星をその中から放出します。当社は、このフェアリングを固定し、最後には分離・開放する「チタン製ノッチボルト」をお客さまと開発しました。このボルトは大変特殊なボルトで、上昇時の強烈な重力加速度と振動に耐えうる強度を軽い素材で実現しながらも、フェアリング開放時には確実に切断するように設計されています。そのため、ボルトには切断用のV字の切込みが入っており、爆薬を使用することにより、一瞬で切断される仕組みになっています。切込みは深すぎても浅すぎてもいけないので、試行錯誤を繰り返して深さ形状を決定し、繊細な加工技術を用いて製造しています。受注時に 1セット500~ 600本のボルトを2セット分完成させ、1セットは最終段階での破壊試験用に、もう1セットは本番用に使用します。絶対に失敗は許されないという緊張感のもと、懸命に開発に取り組みましたし、また同じ思いで生産に向き合っています。

材質から作り方まで千差万別のネジの魅力はズバリ何でしょうか?

 難しい質問ですね。よく「たかがネジ、されどネジ」と言われています。その「されど」に注目するとネジには奥深さがあります。同じように見えても材質や強度、精度、機能が全く違うのです。見た目では分からないネジの魅力を一般の方に伝える難しさはありますが、モノづくりに携わる者からすると、そこに面白さがあるのです。当社がこれまでに小惑星探査機「はやぶさ」や F1レースカーの部品も手掛けたことをお話しすると、多くの方が興味をお持ちになるので、そこからネジが活躍する世界を熱く紹介しています。ネジやボルトは黒子のような存在ですが、技術レベルを押し上げ、私たちの生活を豊かにするものです。また、それらがなければ世界は成り立たないということをご理解いただければと思います。

今後チャレンジしたいことを教えてください

電気自動車(EV)の生産が伸び続けており、EVは今後の主戦場だと位置づけています。EV技術のコアとなるモーターや電池ユニットには、その能力を高めるため特殊なボルトが必要とされていますので、顧客ニーズに合わせた高強度ボルトに引き続きチャレンジしていきます。また、組み立てにおいては自動化が進むと考えられるため、ロボット締結用の新しいコンセプトのボルトを開発しています。技術が大きく変わろうとする変革期においては、ボルトに対するニーズも大きく変わります。自社開発、自社生産という当社の強みにさらに磨きをかけ、100年に一度と言われる変革期の締結をリードしていきたいと考えています。